NHKドラマ10「聖女」にはいきなり
「狂おしい
愛が、欲しい。」
と視聴者に挑みかけるようなコピーで迫ってきます。
「聖女」は脚本家:大森美紀さんの手による「新しいラブストーリーと、新しいサスペンス」として書き下ろされました。
その他のコピーには
”聖女”なのか?”悪女”なのか?
悪女は現実に”聖女”は心に
と、とらえどころのないヒロインに「女性の真実」を表現し、女性に共感してもらえるヒロイン像にしたいとの作者の意欲が垣間見ることができます。
脚本家:大森美紀さんの放送直前スペシャルインタビューでは
■ラブストーリーとして書き上げたという作者の意図が語られています。
『聖女』は、これまで私が書いてきたドラマとは異質なものになっていると思いますが、自分としてはラブストーリーのつもりで書きました。
とは言え、物語がラブの要素と連続殺人の真相という要素が絡み合いながら展開していくので、そういう意味ではサスペンスの匂いもあります。
これは恋愛ものだ、裁判ものだ、サスペンスものだというのは見てくださる方に決めてもらえばいいなと思います。
ただ、監督やプロデューサーには、ラブストーリーとして作ってくださいとお願いしました。
何より主演の広末涼子さんを美しく撮ってほしかった。
ドラマの設定は特異なものだし、どろどろとしたシーンも登場しますが、男女3人(基子=晴樹=泉美)のラブストーリーを美しく描きたいと思いました。
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■主人公の心の支えとなる宗教画の存在
聖女プラクセデス(Saint Praxidis)1655
イタリアの画家の同名作品の模写で
・フェルメールの署名があるが、真作かは疑問とされているが、真作なら、最も初期の作品となる。
2014年に真作との判定がされ、クリスティーズでオークションにかけられる 。
脚本家:大森美紀さんは、“聖女”をテーマにドラマを書きたいと考えたときに、1枚の絵と出会ったそうです。
それはフェルメールの「聖女プラクセデス」という作品で、プラクセデスが殉教者の血がしみ込んだ布を絞って水差しにその血を集めている絵です。
これはフェルメールのオリジナル作品ではなく、イタリアの画家・フィケレッリが描いた同名の作品の模写で、フェルメールはオリジナル作品にはなかった十字架をプラクセデスに持たせています。
少しおどろおどろしいけど、どこか神々しい雰囲気をたたえる“聖女プラクセデス”。
ドラマのなかでは 、“聖女”のようになりたいと思った幼いころのヒロイン基子が、「聖女プラクセデス」に出会い、この絵に愛着をもつようになります。
■神々しい清潔感。
脚本を書き始めたとき、ヒロインは誰になるのかまだ決まっていませんでしたが、私は勝手に広末涼子さんをイメージしていました。
そして、もしかすると広末さんが演じてくれるかもしれないとなると、急に筆が進んだし、書いているのが楽しくなりました。
「広末さんが、こんなことしちゃったりして」とか妄想がどんどん膨らみました(笑)。
広末さん演じるヒロインなら、もしも何か悪いことをしても、どこか神々しさや清潔感があるのではないか。
特に、広末さんがもっている清潔感が“聖女”というテーマに何よりマッチしていると考えました。
私としては広末さんに出演していただくことが叶い喜んでいますが、今回のヒロインはとても難しい役なので、そこは大きな負担をかけてしまって申し訳ないなと思っています。
でも、私が夢想した以上に見事に演じられているので、ぜひご期待ください。
■2人が並ぶと美しい
永山絢斗さんとは以前に一度ドラマでご一緒させてもらったことがあります。
それから彼の活躍を見ていますが、どんどん成長して、すてきな男性になっているという印象です。
その永山さんの姿が、迷いながらも着実に成長していく晴樹のイメージにぴったりだと思いました。
永山さんはとても真摯な人だし、そのあたりも、ちょっとばか正直なところがある晴樹と似ています。
そして何より、広末さんと並ぶとすてきだし美しい。
晴樹役で永山さんの名前が上がったときから、私のなかでは勝手に永山さんをイメージして晴樹を書いていました。
■対極にいる女
泉美と基子
蓮佛美沙子さんが演じる泉美は、私がこれまでの作品で書いてきたヒロインにとても近いキャラクターですね。
基子に比べて泉美は、おひさまの匂いがするような生命力のある女性。
ある意味、二人は対極にいると思います。
そして、基子はきっと、こういう無邪気で明るいタイプの女性が嫌いだと思ったので、永山さん演じる晴樹を挟んで二人をあえて対決させました。
ただ、今回登場するキャラクターのなかで、じつは泉美を書くのがいちばんつらかった。
晴樹がまっすぐでばか正直な男なだけに、泉美はときにとてもつらい思いをします。そこは、書いていて私も本当につらかったですね。
■次週が最も楽しみな作品。
女性って、“聖女”も“悪女”も嫌いではないでしょうか。
どっちも嫌いだし、どっちにもなりきれない。
それは自分自身のなかに“聖女”と“悪女”の両面があるからだと思います。
そんな女性という“性”について、そして、女として生きることについて、私なりに一生懸命に考えながら『聖女』を書いたつもりです。
また、ご覧になった方が、それぞれの登場人物の人生が気になるドラマになっていればイイなと思います。登場人物の誰かに自分を重ねて「わかる、わかる」と共感したり、「本当にこいつ、嫌い」とか「そういえば、こういう人、会社にいる」とか感じながら見てもらえるとうれしいです。
『聖女』は、私がこれまで書いてきた連続ドラマのなかでも、最も次週が楽しみでワクワクしてもらえる作品になっているはず。
次週の放送を見るために、今週も一週間、頑張ろうと思ってもらえるとうれしいですね。
以上がドラマ「聖女」の脚本を書かれている大森美紀さんのインタビューコメントです。
大森美紀さんってどんな人なんでしょう?
大森 美香(おおもり みか)
生年月日:1972年3月6日 -
脚本家、演出家、映画監督
出身:福岡県築上郡築城町(現・築上町)
神奈川県立横浜翠嵐高等学校卒業
青山学院女子短期大学芸術学科卒業
中学の頃、映画『フットルース』を元にした演劇を上演。
『不機嫌なジーン』脚本で第23回向田邦子賞を史上最年少受賞(2005年)
ドラマ
ロング・ラブレター〜漂流教室〜(2002年、フジテレビ)
ランチの女王(2002年、フジテレビ)
きみはペット(2003年、TBS)
里見八犬伝(2006年、TBS)
Good Job〜グッジョブ(2007年、NHK)
東京バンドワゴン〜下町大家族物語(2013年、日本テレビ)
映画
CROSS(2001年、兼・監督)
2番目の彼女(2004年、兼・監督)
インストール(2004年)
デトロイト・メタル・シティ(2008年)
ヘブンズ・ドア(2008年)
カイジ 人生逆転ゲーム(2009年)
宇宙兄弟(2012年)
映画 ひみつのアッコちゃん(2012年)
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2014-08-26 11:10
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